咳の診断「咳の音」

2017-02-09

漢方薬で「咳嗽」を治療する際には、いくつかの診断ポイントがあります。

強く咳き込む場合や小さな咳、痰が絡む咳など一言で「咳」といっても臨床表現は様々です。

咳嗽は、肺の疾病で多く見られますが、他の臓腑の病変とも密接に関係があり、咳嗽の音と症状に基づいて、病症の「寒熱虚実」を鑑別します。

弁証の原則は「虚実」です。

中医診断の問診の一つに「咳の音」があります。「咳の音」とは「ゴホンゴホン」と咳をするときに一緒にでる音です。咳が出るときの「ゴホン」という音が大きくまた強い場合は、邪気(熱痰・痰湿・風寒侵害など)が強く関与しています。

反対に「ゴホン」という音が小さく弱々しい場合は、肺気不足や腎虚が考えられます。

咳嗽の弁証では、先ず病気が発生した時期を問い、短期間であれば実証、長期間の場合は虚証の可能性を考えます。

実証の特徴は、咳の音が大きく強いほかに、胸が張る、胸痛などを伴い、実証の判断から更に表証、熱証、寒証を鑑別していきます。

表証はカゼによる咳ですが、熱証では燥熱や肺熱、また肺気不宣を、寒証では寒湿、風寒、痰飲などを鑑別します。

実証の咳嗽を治療する代表方剤は、燥熱の場合は桑杏湯、肺熱の場合は麻杏甘石湯、肺寒の場合は乾姜甘草湯などです。

虚証の特徴は咳の音が小さく力弱いほかに、疲れやすいなどの特徴があります。

虚証を判断してから、更に肺気虚か肺陰虚かを判断する必要があります。

虚証の咳嗽を治療する代表方剤は、肺気虚の場合は玉屏風散、肺陰虚の咳の場合は麦門冬湯などです。

弁証の流れの中で、問診すべき内容に焦点を絞れなければ、病気の部位、性質などを曖昧にしたまま処方を選択することになります。

それぞれの症状の特徴と病理要点を理解して、またそれらの知識の整理とアウトプットする能力が、的確な方剤の選択に繋がります。