中薬学講座 サンプルテキスト




■辛温解表薬の生姜、防風、など
練習問題
テキスト抜粋


<練習問題>

中医基礎理論講座


中医基礎理論講座


中医基礎理論講座

<参考テキスト>

■生姜(しょうきょう)


【処方名】生姜
【基原】ショウガ科 Zingiger officinale Rosc. の根茎
【性味】辛、微温
【帰経】肺・脾
【効能】発汗解表・温中止嘔・温肺止咳


【応用】
1 外感風寒
生薬は風寒による悪寒発熱・頭痛・鼻塞などへの治療効果があるので、常に辛温解表薬の補助薬として発汗を増強する目的で辛温解表剤に加える。例えば桂枝湯である。生姜を煎じて黒砂糖を加え軽い風寒表証の治療に用いる。

2 胃寒止嘔
生姜は温胃和中で、逆気を降ろし嘔吐を止めるので、胃寒による嘔吐の治療に用いる。
-使用配合例-
生姜は半夏と配合し、胃寒嘔吐の治療に用いる。例えば小半夏湯である。 生姜は竹茹・黄連と配合し、胃熱による嘔吐の治療に用いる。

3 風寒による咳嗽
生姜は温肺袪痰・止咳の効果があり、風寒客肺による咳嗽の治療に用いる。またその他の散寒止咳薬と配合し用いる。

4 その他
鮮魚や蟹などの解毒と半夏・天南星の解毒に用いる。
【用法用量】3〜10g、煎服或いは衝服
【使用注意】生姜は辛温に働くので陰虚内熱及び熱盛の証には忌用。


■香薷(こうじゅ


【処方名】香薷・香茹・陳香薷
【基原】シソ科 Labiatae. 海洲香薷 Elsholtzia splendens Nakai ex Maekawa の全草
【性味】辛・微温
【帰経】肺・胃経
【効能】発汗解表・和中化湿・利水消腫


【応用】
1 夏季に寒凉を感受した諸証候
香薷は夏季に寒凉の邪を感受、また冷たい飲食物を食し、或いは外感風寒・暑湿などにより発熱・悪寒・頭痛・無汗で腹痛・吐瀉などの治療に用いる。この効果を高めるためによく扁豆・厚朴などと配合する。例えば香薷飲である。

2 水腫・小便不利
香薷は陽気を発越し水湿を通利させる働きがある。白朮を配合すると、脾虚水腫の患者には散水和脾に働く。例えば香薷丸である。
【用法用量】3~10g 利水退腫には濃く煎じる。
【使用注意】香薷は発汗の薬力が強いので表虚で汗出がある者には忌用。


■荊芥(けいがい)


【処方名】荊芥・荊芥穂
【基原】シソ科 Labiatae. 荊芥 Schizoneepeta tenuifolia Briq の花穂をつけた茎枝または花穂。
【性味】辛、微温
【帰経】肺・.肝
【効能】袪風解表・止血。


【応用】
1 外感風寒
荊芥は薬性温和の虚浮解表薬で、外感風寒による頭痛・悪寒発熱・無汗の治療に用いる。
-使用配合例-
荊芥は辛涼解表薬である薄荷・金銀花・連翹などと配合すると、風熱証による発熱・頭痛・咽喉腫痛の治療に用いる。例えば銀翹散である。
荊芥は防風・羗活などと配合すると風寒証の治療に用いる。例えば荊防敗毒散である。

2 袪風止痒・宣散透疹
荊芥は風疹による瘙痒や麻疹の透発不足の治療に用いる場合、よく薄荷・蝉退・牛蒡子などと配合する。

3 瘡瘍初期
荊芥は消瘍の効果がありよく防風・金銀花・連翹などと配合し表証を伴う初期の瘡瘍の治療に用いる。

4 その他
荊芥炭は止血作用があり、常に他の止血薬と配合し衄血・便血・崩漏などの治療に用いる。
【用法用量】3〜10g、煎服。
【使用注意】長時間煎じてはならない。止血に用いる場合は、炒炭する。


■防風(ぼうふう)


【処方名】防風
【基原】セリ科 Umbelliferae. 防風 Saposhnikovia divaricate(Turcz.) の根
【性味】辛・甘、微温
【帰経】膀胱・肝・脾
【効能】袪風解表・勝湿・止痛・解痙


【応用】
1 外感風寒
防風は表邪を発散し袪風止痛の効果があり、外感風寒による頭痛・身痛・悪寒などの治療に用いる。
-使用配合例-
表邪を発散し袪風止痛効果を高めるために、常に荊芥・羗活・前胡などと配合して用いる。例えば荊防敗毒散である。
防風は、微温で甘緩、峻烈せずという特徴があるので、外感風熱による発熱・頭痛・目赤などにも用いる。この場合、防風は常に荊芥・黄芩・薄荷・連翹などと配合する。また防風は荊芥・白蒺藜などと配合すると袪風止痒の功能を高めるので、風熱による発疹・皮膚瘡瘍の治療に用いる。

2 風寒湿痺
防風は袪風散寒・勝湿止痛に働くので風寒湿痹の関節痛・四肢が引きつる場合の治療に用いる。この場合に、常に羗活・当帰などと配合する。例えば蠲痺湯(けんぴとう)である。

3 破傷風
防風は肝経に入り袪風・止痙攣に効果があるため、破傷風による角弓反張・牙関緊閉・抽搐痙攣の治療に用いる。この場合、常に天南星・白附子・天麻などと配合して用いる。例えば玉真散である。
【用法用量】3〜10g、煎剤・酒剤・丸散に用いる。
【使用注意】外風に主に用いる、血虚や陰虚火旺者には慎重に用いる。