方剤学講座 サンプル問題


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■ 穴埋め問題

火麻仁は麻子仁丸の(    )薬である。


(正解:君)
注意点:
火麻仁は麻子仁とも称して、腸燥通便の作用が優れているのである。麻子仁丸では、火麻仁は君薬として滑利大腸、腸燥通便に働く。麻子仁丸は緩下剤に属する方剤である。燥熱によって発生する便秘の治療に用いる。燥熱が実邪であり、津液を傷つけるので、麻子仁は甘、平で潤燥の作用が強いという特徴を利用して君薬として配合する。
従って、正解は「君」である。

■ 正誤判断問題

麻子仁丸の功能は潤腸瀉熱 行気通便である。
○正しい
○誤っている


(正解:正しい)
注意点:
麻子仁丸は潤下剤に属する方剤で、特徴としては、大黄で瀉熱通便し、麻子仁・白芍で潤腸し、それに杏仁・厚朴・枳実で理気降気を行う。この三つの特徴で腸胃燥熱に津液不足を伴う便秘の治療に優れていると考えられる。
麻子仁丸は瀉熱通便の大黄のほかに、燥熱による津液の損傷に麻子仁、白芍で補い、燥熱とたまっている便による気滞に杏仁・厚朴・枳実で対応する。この三つの配合で麻子仁丸の潤腸瀉熱 行気通便の働きを実現している。
従って、「麻子仁丸の功能は潤腸瀉熱・行気通便である」は正しい。

■ 選択問題

患者、大便秘結、小便清長、頭目眩暈、腰膝痠軟。この治療でまず選ぶべき方剤はどれか?
○ A.腎気丸
○ B.済川煎
○ C.増液湯
○ D.玉液湯
○ E.麻子仁丸


(正解:B.済川煎)
選択肢Aの「腎気丸」は腎陽虚による腰痛腿軟・下半身に冷感などを治療する方剤である。
選択肢Bの「済川煎」は腎陽不足による腸燥便秘を治療する方剤である。
選択肢Cの「増液湯」は津液不足で、陽明熱盛による便秘を治療する方剤である。
選択肢Dの「玉液湯」は腎胃の気陰両虚による消渇などを治療する方剤である。
選択肢Eの「麻子仁丸」は胃腸燥熱の脾約証を治療する方剤である。
従って、選択肢Bを選ぶ。

注意点:
腰膝痠軟は腎虚に属する症状で、小便清長・便秘を伴えば、腎陽不足による腸燥便秘と判断するのである。
済川煎は潤下剤で、温腎益精、潤腸通便に働く。肉蓯蓉と当帰の配合で温陽潤沢に働き、腎陽不足による腸燥便秘を治療する。